2020-06-06 12:09:43

EM としてメンバーを成長させるなんておこがましいと思っていたのだが

Engineering Manager (以下 EM) の仕事のひとつとして、しばしば「メンバーの成長を促す」みたいなことが書かれているのを目にする。

開幕から「もう何も教えることはない」のだが

いまの自分の状況に照らすと、
「メンバーの成長って言うけどメンバーのほうが強いんですけど?何も教えられることなんてないんですけど?何も言わないでも爆速でみんな成長しているように見えるし、何ならむしろ僕は教わる側なんですけど?」
みたいなことを思いがちな現状であって、つまり「EM がメンバーの成長を促す」というのは、

  • メンバーにジュニアレベルな人がいるとか
  • あるいは EM がすごく経験豊富で教えることがたくさんある

みたいな状況における仕事なんじゃないかな、という理解をしていて、なんなら今の自分にはあんまり関係かな、と思っていた。

なんだけど、2 ヶ月 EM 生活をしてきて少しだけ考えが変わってきた。

誰も EM が自ら教えろなんて言ってないことに気づく

強いメンバーがいて、強いもの同士でペア作業であるとかモブ作業であるとか、その他なんでもいいんだけど「複数人での共同作業」をやっていると、ちょっとしたことでも色々知見だとか知識の共有が行われているってことに気づいた。
この様子を見て、「成長の援助する」っていうのの形は、なにも EM 手ずから何かを教えるとか導くとか、そういうのに限らないんじゃないか、ってことに気づいてきたわけ。

弊チームでは色々の事情を勘案して、いまは「いっぱい協業しようね」というのをテーマにして作業を行っている。
つまりこれも一種の「成長を促す環境作り」みたいなもんなんじゃないかな、と思い、言い換えればこういう状況を作っていくことがすなわち「成長を促す」と言ってもいいんじゃないかと思った。
こじつけっぽいが、そう考えるとちゃんとメンバーの成長を促す仕事をしているような気がしてきた。審議?

成長を促すやり方は他に何があるか

で、共同作業だけが成長を促すやり方ではないはずで、いろんな成長を促す手法を知っておく必要があるなーと思った。協業みたいの嫌いでもくもくやりたがる人もいるしね。

たとえば、案として、

  • 任意の何かを勉強する時間を業務時間中に設けてカジュアルに発表し合う場を作る
  • 任意の事柄についてライトニングトークできる場を作る

みたいな、これはどちらかと言うとアウトプットのほうにフォーカスしている案かもしれないが、こういった催しを継続的に行う立て付けを作る、っていうのもナレッジを高める手段であろうと思う。まあしかし、この手のものは言われてやるって言うと急にやる気なくなったりする一面もありそうで、やるにしても導入の仕方が難しいような気がしないでもない。まずは小さく、気軽に、そして何より隗より始めるのが良いのかな―等と思ってみたり。

「毎週この時間は Go の勉強会」みたいのだったら自分でもちょいとはできそうかもしれない…。いいじゃん…。みんなでおっちゃんと一緒に標準ライブラリ読もうや…。

やはり EM は「地相を変える仕事」であったのか

先日のポストで、「EM の仕事はロマサガ 3 で言うところのコマンダーバトルであり、地相を変えるのが EM の役目なのでは」等と雰囲気で書いていったわけであるが、 本稿の「成長を促す環境作り」みたいのはまさに「地相を自分らに有利なように変えていく」みたいに見えはしまいか。見えんかね。どうかね。

現在の地相が自分らに有利なのか不利なのか、地相を変えるとしてどの地相に変えると有利なのか。現実はもっと変数が多くて複雑であるのでゲームのように火星の砂を放っておけばいいという話にはならないわけだが。なんとなく共通点があるような気がしないでもない。まあちょっとこじつけではある。うむ。

EM も悪くないとだんだん思えてきた気がしないでもない雰囲気を感じつつある

先日までエンジニアだった自分は、しばしば「マネージャの仕事はコード書く量が減ってしまってつまらん」等と思いがちであるのだけれど、ただこうして「どういう課題に脳みその大半を割くのが EM の仕事なのか」ってのに整理がついてくると (ここで言うところの、どうやったらメンバーが成長するのか、という課題) 、それなりに重要で、それなりにやりがいのある、それなりに面白みのある、もののように思えてきている気がする。

これは自分にとっては大きな心境の変化で、日常のストレスの感じ方に直結しているのを強く感じる。当初よりはストレスフルでなくなってきたというかね。もしかしたら単なる慣れかもしれないが。課題が見えてきて、あるいは言語化されてきて、「納得感」が醸成されてきたってことかもしれない。納得は全てに優先するじゃん?

というような感じで 2020 年 6 月もやっていく。おかげさまでリモートを続けられる環境で嬉しい。

Share