「文章力の基本 ~簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック」という本を読んだ。
技術書典11 にサークル参加してみて、自分の文章力のなさみたいなものを痛感してしまったわけでありました。
もうちょっとまともに文章を書けるようにならねばならんなーと妻にぼやいてみたところ、妻が押入れから引っ張り出してくれたのがこの本。せっかく手元にあるわけだし、試しに読んでみるかと思って開いてみたらなかなかこれが面白い。面白いというか、良い文章を書くための即効性のあるテクニックがいっぱい羅列してあって、それでいてひとつひとつがなかなか納得感があり、読んだそばから役に立つ内容であると感じた。
シンプルに書く。短く書く。
「文は短く切る。シンプルに書く。」みたいな TIPS が、例文 (アンチパターンと修正案) と一緒に延々と紹介されていくのが本書の内容。77 個あって多いように思うが一個一個の TIPS はだいたい見開き 1 ページで収まる程度に短くまとまっているのでサクサク読める。一日あれば読み終えることができるくらいの分量。全部覚えていられたらいいが記憶力の関係でなかなか難しいので、何度か読み返す必要がありそう。
この本を読みながら、それにしても僕は普段から余計なことをいっぱい書いているなーと気付かされた。意味のない形容詞だとか枕詞だとかいっぱい並べたり、語尾に「〜みたいな」とか「〜と思う」のようなものをつけて主張を曖昧にして予防線を張ったり、主語を抜かしてみたり。本に書かれているアンチパターンは全部実践していると言っても過言ではなさそう。まさにいま僕が書いたこの一文を見ろ。長い。何が言いたいのか分からん。アンチパターンのバーゲンセールかよ。というこの一文もたぶん無駄だな。
無駄な形容詞
自分が書いた文 (技術書典で出した本や Slack でのやりとり、過去の自分のブログなど) を見返してみると、僕は かなり、ちょっと、基本的に あたりの形容詞を、特別の意味なくなんとなくで付与することがかなりあるようで、ちょっとこれは基本的に基本が出来てないってことじゃないですかね…っなんてかなり思うわけであります。
というようなね。ちょっと気を抜くとすぐこういう文書になってしまう。「“基本的に” と形容する場合がありますが大抵の場合意味はありません」という説明が書かれていて笑ってしまった。確かに意味がない場合が多そう。あってもなくても基本的に文の意味は変わらない。うむ。こういった無駄な形容詞を取り除くだけでも、文書が結構スッキリしそうだな。
思う
自分は「〇〇だと思う」って言い回しを結構使ってしまうんだけど、コンテキストからして推測や非確定なことを述べているのが明確な場合は、いちいち「思う」をつける必要はないよね。わかる。
ただ、事実と推測を並べて述べるようなときはむしろ「思う」を付けておかないと事実なのか推測なのか伝わりにくいってことはありそう。問題は、あきらかに推測ではないのに「思ってる」を使っていることがあること。癖になってるのかもしれない。
自分の文やチャットでの発言を見返すと、「土日は休みだと思います」みたいなことを何故か書いてることもあった。「土日は休みです」で良いよな。何故いちいち「思う」のか。土日がしばしば出勤になり得るようなシチュエーションなら良いのかもしれないが、幸いなことに現職で土日が出勤になったことは一度もない。なのでやっぱり無駄に「思って」ということなんだろうな。
ちょっと意識して文を書いてみている
Slack や GitHub issue 等、文を書くことは頻繁にある。リモート全盛のご時世だっていうこともあって以前よりもその機会は多くなっている。本書の内容を全部覚えているわけではないが、たとえば先述した「無意味な形容詞を省く」、「ひたすら ◯◯ と思う で言い終わるのをやめる」、あたりの工夫は、シンプルなルールなのでサクッと始めることができる上に文書をシャープにする効果が高いと感じる。それだけ自分の書く文書にはこの手の “贅肉” が多いということなのであろうけど…。
一方で、普段のチャットからこのルールをあんまり徹底しすぎるとやや冷たい印象を与えるような気がしないでもない。チャットで口語を使うときと、レポート等でまとまった文書を書くときとではいくらか使い分けたほうがいいのかもねーなんてことも思った。
良い本
小難しいことは書いておらず、何度か読み返して実践すれば確実に良い文書が書けるようになる気がする。しばらくしたらまた読んでみよう。良本です。