「戦争の心理学」という本を読んだ。たいへんおもしろかった。
戦争の心理学、という本を読んだ。
原価は2,400円だが新品が売ってないようで、中古でお買い求めすると5,000 から 6,000円くらいする。高いな?自分は図書館で借りて読んだ。一度の貸出では読み切れず、2~3回ほど連続で借りて読み切った。図書館で借りればタダよ。
この本には、だいたい「戦闘するとき、人間の体にはどういう変化が起こるのか」っていうことが書かれている。生きるか死ぬかっていう状況になると、人間には心理的にも肉体的にも色々と変化が起こるんだっていう話。本の最後のほうには PTSD の話とか、逆に PTSD にならないためにはどうすればいいのか、みたいな話も出てくる。一貫して戦争の話を扱っている本ではあるが、日常生活に応用が効くような内容もちょいちょいあるようにも感じられた。
色々興味深いことが書かれていたが、自分はこの本で頻出するワードであるところの「極めて自然」という表現がとても印象に残った。
曰く、戦闘時、人間にはいわゆる「不名誉」な状況が降りかかることがある。不名誉なことなので体験談などで残されないケースが多いらしいが、たとえば「大小失禁」であるとか「味方を見捨てて逃げる」だとか、内面的にも「味方がやられたけど自分じゃなくて良かったと思っちゃう」とか。少なくない兵士がこういうのを体験しているらしい。
で、この本はだいたい一貫してこういう不名誉とされるような振る舞いに対して「極めて自然な人体の反応である」と書いている。どうしてそういう反応をしてしまうか、ということについても細かく、概ね科学的に説明されていて、信憑性があると感じた。ちなみに著者は退役軍人の方らしい。
人前で発表するとか、面接に臨むとか、納期が迫っているリリース物があるとか、そういうときには自分は少なからず不安を覚える。場数を踏めばなれると言われて育ったが40歳を過ぎてもまだ慣れていないのだから、今後も慣れないまま人生を送る可能性が高そうな気がしている。
いままでは割と「こんなことでストレスを感じるなんていい歳してみっともねえ心身だな」と思わんでもなかった。ゲームやっててもすんごいドキドキしたりすることもある。昇格戦に限って手元がくるってコンボミスるみたいなことあるじゃん?そんな自分にしばしば嘆いていたわけである。自分ってしょうもねえなぁと。よその人はあんな立派にやってんのになぁと。
なんだけど、この本を読んだあと、こういう症状が起こるのは (人によって程度こそ異なるものの) だいたい普通、つまり「極めて自然」であるというような認識になってきた。説明できる現象なのである。びびるのは普通なのである。本はあくまで「戦闘」の話を綴っているわけなので、だいぶ拡大解釈ではあるかもしれないが。
日々のプレッシャーを感じるとき、あるいは自己嫌悪に陥りそうなとき、心の中で「いやまあしかし、こう思っちゃうのって人間にとって “極めて自然” だしな、しゃーないよな」って思えると、ちょっと気が楽になるような気がせんでもない。“極めて自然”、心に飼っておこうと思った。
見るからにアレな感じがしてしまうタイトルだが、割と悪くなかったのでちょっとメモしておく。
アマゾンをぶらぶらしてたらたまたま目に入ってしまった一冊。曰く、「本を読んだそばから内容を忘れてしまうでしょあなたー!」とのこと。ホントにそのとおり。自分が今年何冊読んだのか、何を読んだのか、なんならオススメは何か、って言われてもすぐ出てこない。
自分としては、本の内容をつぶさに覚えてなくても、何となくエッセンスを吸収して血肉になってるだろうからまあ良かろう、くらいの気持ちでいた。しかしこの本は「そういうなんとなくな読み方ではエッセンスは吸収されてないぞ」と言い切っている。そうかー、まあそう言われればそんなような気はするが、そうかー。
それで、この本では「読書ノート」をつけるとより一層本の内容が記憶に定着していいぞ、と言っている。大仰なものは書かなくてよくて、何月何日に何を読んで何を思ったー、くらいのことを書けばよいと。
確かに、感想を書こうと思ったら読了後にもう一度要所を巡る必要があるかもだし、気になったところを引用したりちょっと気分を言語化したりするのに頭を使う必要もある。この手の営みはただ読むより少し能動的な本との向かい合い方になるような気がする。手を動かすとよく覚えてられるってのも体感的には分かる。ちょっとした感想でよいっていうのであればそんなに大変じゃなさそうだし、やってみてもいいかもしれない。あと単純に「俺ってあのときどんな本を読んでたっけ…」というのを後から見返すのは面白いかもしれないとも思う。
紙のノートが良いという話だが、ノートやペンを常備しておくのも大変なので、やはりここは IT に頼りたいところ。なんか都合の良いツールはあるか。
読書ノートの要件としては、
このへん。こう見るとテンプレートを添えた GitHub issue でも良さそうかって気がする。手軽かって言われるとやや重い気もする?けどとりあえずやってみてから考えようと思った。
ということでリポジトリを作ってみた。続くことを祈る。
https://github.com/pankona/reading-note
先述のリポジトリに、近頃読んだ本をいくらか issue として書いてみたが、なんとなくこれじゃない感を感じてしまった。登録しにくいということはないが、なんというか、なんとなくぱらぱら見返すのには適さないなと思った。ツイッターのタイムラインみたいな見た目で見れると良さそうな気がする。
GitHub issue とってきてタイムラインみたく表示する機能なんて聞いたことないが、どっかにすでにそういうのあったりするかな…?なければ簡単にそういうものを自作してもいいかもなー。
「文章力の基本 ~簡単だけど、だれも教えてくれない77のテクニック」という本を読んだ。
技術書典11 にサークル参加してみて、自分の文章力のなさみたいなものを痛感してしまったわけでありました。
もうちょっとまともに文章を書けるようにならねばならんなーと妻にぼやいてみたところ、妻が押入れから引っ張り出してくれたのがこの本。せっかく手元にあるわけだし、試しに読んでみるかと思って開いてみたらなかなかこれが面白い。面白いというか、良い文章を書くための即効性のあるテクニックがいっぱい羅列してあって、それでいてひとつひとつがなかなか納得感があり、読んだそばから役に立つ内容であると感じた。
「文は短く切る。シンプルに書く。」みたいな TIPS が、例文 (アンチパターンと修正案) と一緒に延々と紹介されていくのが本書の内容。77 個あって多いように思うが一個一個の TIPS はだいたい見開き 1 ページで収まる程度に短くまとまっているのでサクサク読める。一日あれば読み終えることができるくらいの分量。全部覚えていられたらいいが記憶力の関係でなかなか難しいので、何度か読み返す必要がありそう。
この本を読みながら、それにしても僕は普段から余計なことをいっぱい書いているなーと気付かされた。意味のない形容詞だとか枕詞だとかいっぱい並べたり、語尾に「〜みたいな」とか「〜と思う」のようなものをつけて主張を曖昧にして予防線を張ったり、主語を抜かしてみたり。本に書かれているアンチパターンは全部実践していると言っても過言ではなさそう。まさにいま僕が書いたこの一文を見ろ。長い。何が言いたいのか分からん。アンチパターンのバーゲンセールかよ。というこの一文もたぶん無駄だな。
自分が書いた文 (技術書典で出した本や Slack でのやりとり、過去の自分のブログなど) を見返してみると、僕は かなり、ちょっと、基本的に あたりの形容詞を、特別の意味なくなんとなくで付与することがかなりあるようで、ちょっとこれは基本的に基本が出来てないってことじゃないですかね…っなんてかなり思うわけであります。
というようなね。ちょっと気を抜くとすぐこういう文書になってしまう。「“基本的に” と形容する場合がありますが大抵の場合意味はありません」という説明が書かれていて笑ってしまった。確かに意味がない場合が多そう。あってもなくても基本的に文の意味は変わらない。うむ。こういった無駄な形容詞を取り除くだけでも、文書が結構スッキリしそうだな。
自分は「〇〇だと思う」って言い回しを結構使ってしまうんだけど、コンテキストからして推測や非確定なことを述べているのが明確な場合は、いちいち「思う」をつける必要はないよね。わかる。
ただ、事実と推測を並べて述べるようなときはむしろ「思う」を付けておかないと事実なのか推測なのか伝わりにくいってことはありそう。問題は、あきらかに推測ではないのに「思ってる」を使っていることがあること。癖になってるのかもしれない。
自分の文やチャットでの発言を見返すと、「土日は休みだと思います」みたいなことを何故か書いてることもあった。「土日は休みです」で良いよな。何故いちいち「思う」のか。土日がしばしば出勤になり得るようなシチュエーションなら良いのかもしれないが、幸いなことに現職で土日が出勤になったことは一度もない。なのでやっぱり無駄に「思って」ということなんだろうな。
Slack や GitHub issue 等、文を書くことは頻繁にある。リモート全盛のご時世だっていうこともあって以前よりもその機会は多くなっている。本書の内容を全部覚えているわけではないが、たとえば先述した「無意味な形容詞を省く」、「ひたすら ◯◯ と思う で言い終わるのをやめる」、あたりの工夫は、シンプルなルールなのでサクッと始めることができる上に文書をシャープにする効果が高いと感じる。それだけ自分の書く文書にはこの手の “贅肉” が多いということなのであろうけど…。
一方で、普段のチャットからこのルールをあんまり徹底しすぎるとやや冷たい印象を与えるような気がしないでもない。チャットで口語を使うときと、レポート等でまとまった文書を書くときとではいくらか使い分けたほうがいいのかもねーなんてことも思った。
小難しいことは書いておらず、何度か読み返して実践すれば確実に良い文書が書けるようになる気がする。しばらくしたらまた読んでみよう。良本です。
「リーダーの仮面」という本が本屋で平積みになっていたもんで、それじゃあってことで読んでみた感想。
自分自身がもっとリーダーらしくあるために等と思って手に取ったわけではない。エンジニアリングマネージャとしての自分の振る舞いになんらか足しになるかもしれない、何かの気付きになればいいかな、くらいの気持ちで読んでみた。割とさっくり読めて1時間~2時間くらいで読み終わった。
賛否両論ありそうな内容だなーと思った。最近のマネジメントの風潮 (ホラクラシーであるとかティール組織であるとか) をそれなりに否定するようなことが書かれている。なのでこれ一冊を読んで「よーしこれの通りにやってみるぞー」みたいに思ってしまったりすると、導入の仕方によっては組織に “合わない” ということもありえそうだなと感じた。目標管理を数字で管理するということも書かれていたが、目標を数字にしにくい仕事 (ソフトウェアエンジニアなんかはそうだと思うんだが) だと適用しにくかったりしないかな、なんてことも思う。
気になった点をちょっとピックアップしてみると、
ここにピックアップしたものについて自分はひとつも実践していない気がしていて、本書の言葉を借りれば「リーダー失格」でありそう。1on1 毎週やってるしプロセスめっちゃ見るし (そもそも未達とか達成とかの基準すら定義していない)、モチベーションが大事だと思うのでモチベーション下がる要因とかヒアリングしたりするし。
未来を見据えて~というのはそれはそうだなと思った。うん。
数値で目標を管理するという点は、チームで測っているベロシティなんかは物差しとして使えるのかもしれない。でもこれもなんというか、達成すべき数値目標というよりは “チームの実力測定器” みたいなところあるしな。ちょっと文脈と合わないかもしれない。
やや本を否定するようなことを並べてしまったが、参考になる話も多かった。例えばちょっとメタにとらえて「仮面をかぶる」という話はとても参考になった。
人は誰しも時と場合によって人格を使い分けている。家庭内なら父とか母とかのロールがあるわけだし、転じて職場ならマネージャやプレイヤーだったりする。属するコミュニティによって “ペルソナ” は変わる。組織でマネージャやっていれば場合によっては冷たいことを言わなければならないこともあり、結果として嫌われることもあろうが、それはペルソナの関係上そういうものであって、人格が否定されたわけじゃないから落ち込む必要はないんだよ、と。まあ分かる。
まあ分かるんだが人間そんなに割り切れるもんか?と思わんでもない。コードレビューはコードについて話をしているので書いた人の人格を否定するものではないのだが、それでもあれで心を傷める人類が後を絶たないっていうのと同じことで、ペルソナの話は観念的には理解できるものの、実態としてそこまで人類は高尚ではないよなぁ、と思わんでもない。
とはいえマネージャは仕事を全うするために、嫌われることを厭わず、言うことを言わなければならない場合もあろうというのは確か。自分はもうこれに関しては「嫌われて落ち込んで復活するまでが仕事」くらいのことを思ってたりする。割り切れてないな。もう少し経験を積んだらこのへんの感じ方や考え方も変わるんかねー、なんてことも思いつつ。
メンバーの自主性に任せてあまり細かなマネジメントしない、というスタイルにもやや否定的な論調で触れられていた。これだと成長する人は成長するが、そうでない人は置いてきぼりになってしまうよね、と。これはね、分かる気がする。新しい人とかはほったらかしにできるわけないしね。分かる。
割と自分はほったらかしにしがちな自覚がある。ほったらかしで成長する人はそれで良いんだけど、そうでない人に対しては本書で述べられているアプローチが効くパターンありそうかなーって思ったりした。使い分けが大事なのかもしれない。
少なくとも直ちに自分 (と自分のチーム) に取り入れるには合わなそうな部分が多いかも、と感じたものの、なるほどこういう考え方もあるのね、という、リーダー (マネジメント) の考え方のひとつのカットとしては大いに参考になる内容だった。近頃の組織論とは結構切り口が違うと思うので、こういった本があるのも良いよね、って思いましたです。
他の EM (Engineering Manager) から「THE TEAM 5 つの法則」という本をオススメされたので読んでみた。
読書感想文を書いておく。
内容とあんまり関係ない話ではあるが、スラスラ入ってくる感じの文体で非常に読みやすいと感じた。
理解が難しい箇所がほとんどなくて、読んでいてストレスがなかったのが印象的。本ってしばしば「途中まで読んだはいいもののまた再開するのが億劫で積まれていく」みたいになりがちかと思うが、そういう気持ちにはあんまりならなくて、サクッと再開する気持ちになれたというか、気楽に読めるというのはとても良いと思った。まあ内容に興味があったから早く先を読みたいっていう気持ちだっただけかもしれないが。
およそ 300 ページくらいでそんなに多くないのもあるけれど、サクッと読める感じでオススメ。
「モチベーションを出せ!」「気合だ!」等と言われてもモチベーションがあがらない (何なら下がるまである) というのは体感、あるいは体験として感じていたところではあるが、じゃあどのようにすればモチベーションが上がるんですかね、っていうようなことが書かれていてこのへんはとても興味深かった。
書かれていたのは結局のところ、「何にモチベーションを見出すのかは人それぞれだから、モチベーションを高める “それ” をお互いに提供できるように努めような」というような話なのかと理解していて (雑理解かもしれない)、まあそれはそうですよね、って思うところ。
なんだけども、そもそも「各々が何にモチベーションを見出すのか、あるいは何にモチベーションが下がるのか」っていうのをちゃんとチームの人々がお互いに知っているんだっけ?言語化できてるんだっけ?というとあんまりそんな気はしなくて、なのでそのへんの認識を合わせる何らかの催しみたいのはやってみたら面白いかもねぇ、等と思いながら読んでおったわけである。
だいたい「何がモチベーションになるか」なんて自分のことですら良く分かんない事柄ではありそう。
本書には「4 種類のモチベーション」というのが紹介されていて、それは以下の 4 つであると。
これのうちのどれか 1 個にモチベーションを感じるというよりは、4 つそれぞれにどんだけモチベーション感じるかっていう感じで、ダイヤモンド的なグラフにできるようなものなんだろうと思う。
これらの分類分けっていうのはなんとなく"分かる"というか、これを念頭にメンバーの顔を思い浮かべると「あーあの人はこれにモチベーション感じてそうだなー」等と思い当たったりするような気もしてくる。
これを意識しながら 1on1 に望んだりすると、ちょっと相手への理解の解像度が増したりするのかもしれない。現在担当しているロール (マネージャなのか、そうでないのか、とか) によってどの類のモチベーションを感じやすい、みたいなのもありそう。
あとこれは他ならぬ自分自身がどれにモチベーションを感じているか、ってのを考えるのにも役立ちそう。セルフモチベートに用いるというかね。そういうの考えて整理しとくのも大事かと思われる。自分のような「最低賃金がまあまあであれば、あとは Go 書ければだいたい凄く満足するんだけどなー」みたいのは、「待遇そこそこ、活動強め」くらいな感じでモチベーション感じているのかなー、のように分類されるんだろうか。